競合プレゼンに勝つ方法。

ブランディングの観点から、今回は企業の社員にとって不可避な競合プレゼンで勝利する方法をお伝えします。
タイトル負けしないような内容にしますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

私は2社の広告会社に計21年間務めました。その中で、同業他社との競合プレゼンに臨むことが何度もありました。
もちろん、勝利して扱いをいただく場合もあれば、敗退して扱いを大きく失うこともありました。

ある時に上司から「今回、負けた要因をレポートにまとめて提出してくれ」と。もっと強い口調だったかもしれません。優しい上司だったので、もっと穏やかな口調だったやも知れません。もう15年以上前のことです。

私は素直に自分が思うところを1~2枚程度のレポートにして提出しました。
企画の奇抜性に欠けていたんじゃないか。
アイディアは良かったけど価格で負けてしまったんじゃないか。
得意先のキーマンの好みに合わなかったんじゃないか。
などなど。
考えられる要因を挙げてレポートしました。

競合プレゼンは勝った時はともかく、負けた時は必ず反省を求められます。経験がある方は分かると思いますが、ほんとにやなものです。

私はこう考えました。
今後この仕事を続ける以上、競合プレゼンは避けられない。であれば、この負けたときのレポートをノートに記していこうと。
そして、つけだしたのが「プレゼン負けノート」です。

私はプレゼンテーションの準備においては、チーム全体をまとめる役割の時もあれば、一人のプランナーとしてチームに加わる時もあります。
ノートにはその時その時の役割で、感じたことをできるだけ赤裸々に書きました。
このノートは誰にも見せないことを前提にした、私だけの極秘ノートです。

(とても残念なことではありますが)だいぶ内容も増えてきました。ある時にこのノートを読み返してみました。何か負けるパターンみたいなものがあるのではないか、それが分かれば「勝ちパターン」が見いだせるのではないか、と考えたわけです。

ありました、負けパターン。
それは、必ずといっていいほど共通していることでした。
チームの雰囲気が、競合プレゼンの勝敗を分けていることが見えてきました。

競合に勝つ企画は、全体最適と部分最適をそれぞれ最大化させることに突きます。しかしながら、チームの雰囲気が良くないと、企画全体としての最適化も、個別の施策の最適化も進みません。

私はそれに気づいた後は、一緒に進めるチームの雰囲気をできるだけ良くすることに注力し、企画会議に臨むようになりました。結果は言うまでもなく、勝率は格段に向上しました。
おかげでノートのページも進まなくなりました。エコにも貢献したかも知れません。

ブランディングは、「幸せな関係づくり」です。そのために必要なのは、ビジョンを明確にすることと、関わる人が幸せを実感できることの二つです。

競合プレゼンでも同様にブランディングは機能します。
つまり、競合プレゼンに臨む際、まずチームで「提案の軸」を議論しそれを共有します。それがビジョンの明確化です。

そして、そのビジョンを実現するために今度は、チームのメンバーが幸せを実感できる雰囲気づくりです。

大型案件になれば、数億、数十億の売上を左右するプレゼンテーションがあります。当然、会社からのプレッシャーもかかります。広告会社の場合は、様々なセクションから召集されたメンバーでチームを作るため、横断型のメンバー構成になります。

チームとして臨む以上は、このチームの雰囲気が最重要になります。
メンバー全員が、このチームに加わったことや、この仕事に関わることを幸せに思えなければ、雰囲気はよくなりません。

もちろん、企画性を高めることや価格優位性を上げる努力も必要です。
ですがメンバーは皆、それぞれ専門分野のプロです。部分最適化は進みます。敵も同様です。
どの競合会社よりも「幸せを実感できるチーム」であれば、高いモチベーションのもと、自ずと全体最適化が強まり勝利できるのです。

いくら雰囲気が良くても表面上だけでの雰囲気だとすると、今度は誠意のない企画になります。心からこのチームの一員であることを幸せに思えれば、企画にも誠意を尽くせるものです。

ある時、競合プレゼンで選ばれる会社と選ばれない会社の違いを、お得意先のキーマンに聞いたことがあります。
その答えは単純で「一緒に仕事したいと思った会社を選ぶだけですよ。だけど、理由が必要だからいろいろ言うだけで。」と仰っていたことが印象的でした。

一緒に仕事したい。言い換えれば、一緒に仕事をすれば幸せになれそうな会社を選ぶ、ということです。

お得意先企業も、幸せを実感できてるメンバーと幸せな関係を築きたいのです。

ブランディングは、企業や商品・サービスだけでなく、今回紹介したようなチームワークによる提案にも有効です。
ぜひお役立てください。

お問い合わせ

ご相談・ご質問は
お問い合わせフォームをご利用ください。

メールでご相談メールでご相談