企業が行うブランディングの種類と目的

企業が行うブランディングにはいくつかの種類があります。
今回は、ブランディングの領域と、その領域による対象の違いを中心にご紹介させていただきます。

ブランディングを進める上で、どの領域のブランディングを行うのか(領域)と、だれを対象に行うのかを予め確認しておく必要があります。
ブランドの独自価値などを明らかにしていく議論で、人によって全く異なる価値を挙げたり、議論が紛糾したりするのは、この整理が曖昧になっている可能性があります。
どの領域を対象とするブランディングなのか、スタート前に明らかにしておきましょう。

ブランディングの3つの領域と目的

ブランディングの領域は、一般的には「企業」「事業」「商品」のいずれかになります。
「企業」を領域とするブランディングとは、企業ブランディングと称されます。その目的は、企業価値を向上させるためのブランディングとなります。
「事業」を領域とするブランディングは、企業内の特定の事業を対象とするブランディングです。ある特定の事業の価値を向上させるのが狙いです。
「商品」を領域とするブランディングは、ある特定の商品を対象とすることになります。商品の独自価値を明らかにし、その価値を社内・社外で共有させていくことが目的になります。

図は、一般的な企業のブランド構造を表したものです。
下から商品→事業→企業という階層構造になっています。実施するブランディングがどの領域に位置付けられるかを確認しましょう。

 

複数の商品を対象として、ブランディングを行う場合があります。
その際は対象の複数商品が「共通に持つ価値」を明らかにし、その価値を向上させる点からすると事業ブランディングに位置付けるか、商品グループのブランディングとするのが適当です。

ブランディングの対象

次に確認することとして、ブランディングの対象があります。
ブランディングは、社内の意識変革を目的としたインターナルブランディング(インナーブランディング)と、顧客や市場からの評価向上を目的としたエクスターナルブランディング(アウターブランディング)があります。
これら2つのブランディングが一貫性をもって行われることで、ブランディングの効果を高めることができます。
インターナルブランディングの目的と必要性

インターナルブランディングの対象とエクスターナルブランディングの対象は、ブランディング領域によって異なります。

下の図は、ブランディングの領域に対して、インターナルブランディングとエクスターナルブランディングがどのような人たちを対象とするかを表しています。

 

企業ブランディングの目的と対象

企業ブランディングを推進する際に、インターナルブランディングの対象は、全従業員となります。企業の独自価値(バリュー)やビジョン、ビジョンの実現に向けたミッションを全従業員で共通認識化することが目的になります。
バリュー、ビジョン、ミッションを記したブランドブックを制作し配布する企業がありますが、それらを従業員が自分ゴト化できなければ、ビジョンも絵に描いた餅に帰してしまいます。ビジョン実現に向けては、従業員の自分ゴト化を促し、それを具体化する中長期的な取組みが求められます。

企業ブランディングのエクスターナルの対象は、社会全体になるのが一般的です。単一事業を行っている企業では、事業が属する市場が対象になります。
企業の独自価値や存在意義を社会や市場に浸透させていくことがその目的です。
手法として広告による浸透が思い浮かびます。しかしながら、広告に限らずその企業らしい取組みが納得性を高めますので、どのような取組みが自社らしいかを柔軟に考えましょう。

商品ブランディングの目的と対象

商品ブランディングでは、インターナルブランディングの対象は、その商品に関わる従業員ということになります。複数の部門の商品担当者が対象になるケースが多いと思います。
その商品のもつ独自価値や、顧客がその商品の体験によって得られる喜び(情緒価値)を明らかに、それを共通認識化することが推進の目的です。
一つの商品に関する、商品強化策、周辺サービス、販促手法、情報発信など一貫性が保てず、それぞれの施策に相乗効果が生まれていないケースを見かけます。
それは、対象の商品価値に対する認識が、社内の部門によって異なっていることが要因として考えられます。
各部門が行う施策に相乗効果を最大化するためには、商品価値を共通認識化しておくことが不可欠です。

商品のエクスターナルブランディングの対象は、既存顧客や見込み客、さらにはその商品が属する市場となります。
ここを担うのは宣伝部やマーケティングと考えがちですが、商品パッケージや流通での展示方法、周辺サービスの提供方法なども重要なエクスターナルブランディングの取組みになります。
インターナルブランディングを踏まえ、エクスターナルブランディングにおいても各施策が一貫性を保てているかを確認しながら推進することが求められます。

統合型ブランディングの重要性

ここまでブランディングの領域と領域毎にその目的と対象についてお伝えしました。
それぞれの領域でインターナルブランディングとエクスターナルブランディングの二つの取組みが相乗効果を生むことになります。
これら二つのブランディングを車の両輪のように進めることが効果を高めることはご理解いただけたと思います。
二つのブランディングにシナジーを持たせ、効果を最大化するために必要なことが、一貫性ということになります。

インターナルブランディングからエクスターナルブランディングまでを一貫したコンセプトのもとに効果を最大化するブランディングを、当社では「統合型ブランディング」と称しています。
社内ワークショップから導き出した「バリュー・ビジョン・ミッション」。それらをベースとしたインターナルブランディングとエクスターナルブランディングの具体的な方策を企画・推進すること。
これが統合型ブランディングです。

当社では、ブランディングの両面を一貫してサポートする体制を整えています。
一度お気軽にご相談ください。
事例の詳しい内容などご紹介させていただくとともに、企業の事情に即した効果的な取組みをご提案いたします。

統合型ブランディングについて

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