ブランドは身近なところで作られます。

ブランドづくりに広告が欠かせないという考え方がありますが、ブランドはもの凄く身近なところで、しかも予算を掛けずに作られます。
例えば、あなたがスーパーに買い物に行った時のことを思い浮かべてください。飲料売り場で、2種類の飲料水が置いてあったとします。

一つは広告でもよく目にする有名飲料メーカーの飲料水A。もう一つは、聞いたことのないメーカーの飲料水Bです。どちらも同じ内容量で硬度も成分もまったく同様です。
ただし、価格はAが130円、Bが90円だとします。
あなたはどちらを選びますか?

「Aのように高い価格でも売れるようになろう」なんて、どこかのブランディングの本に書いてあるようなことを言うつもりはありません。

同じ成分で同じ内容量だったら価格の安いBを選ぶ人もいるでしょうし、口にするものだし有名メーカーの方が安心だからといってAを選ぶ人もいるでしょう。

ある時、隣に住んでいる人からこんな話を聞きました。
「実は私はBを販売している会社に勤めていて、あの安価なBは実はAと同じ会社で作っていてAとBは中身は一緒なんですよ」と。

そんな話を聞かされたあなたは、この先スーパーに行ったときは迷わずBを買うでしょうか?
そうとは言い切れませんね。

もしかしたら、それでもAを買うかも知れませんし、素直に「中身が一緒なら安価なBにしよう」という人もいるでしょう。

もし隣に住んでいる方が、普段は挨拶もしない、ゴミ捨てのルールは守らない、夜中に大きな声で騒ぐ、マンションや町内会の事には非協力的という人だったら、どうでしょう?

あの人が言っていることはちょっと信用できない、と思うかも知れません。
Bを少しでも売るために言っている嘘かもしれない、とも思うかもしれません。
そうすると、隣に住んでいる人がその有名メーカーに勤めていると知ったことで、もうAもBも買わないということもあり得る話です。

商品を目にした途端に、あの隣の住人の顔が頭に浮かんで、どちらも買う気がしなくなるという現象です。

これは、何かあなたが大好きだった人にある時に裏切られたようなことがあると、その人に関する全てのことが嫌いになるということと似ています。

逆に考えれば、隣の人がとても親切で朝も気持ちよく挨拶するような人だったら、どうでしょう。
あの人の言うことだから信用できる。
ほんとにあの人は親切で、本当はAが売れた方が利益が出るはずなのに、私のためにBを勧めてくれた、と思えればより一層このメーカーの商品を買う気になるでしょう。

これは仮の話ですが、皆さんは日常の買い物で既に「隣の人」の影響を受けています。
それは、どういうことでしょう?

Facebookやブログで繋がっている人たちからの情報です。
私たちはFacebookで繋がっている「友達」からの情報にはきっと偽りはないし、私を欺こうとしている情報はないはずと信じています。
なぜなら、私が「承認」した友達だから。

そんな「友達」からレコメンドされた商品はきっといいはず、今度スーパーで見かけたら試してみよう、なんてことになります。

つまり、どれだけ多くの広告を投下しても、身近なところでブランドを傷つけてしまっている場合もあれば、それほど多くの広告費を掛けなくても、強いブランドを築くことは可能なのです。

先ほどの飲料水の話しに戻れば、隣の住人が親切な人なら、きっとあなたはFacebookやブログを通じて、「AとBは同じメーカーが作ってて、この前Bを買ってみたけど、美味しかったよ」なんて書くかも知れません。。

この飲料水メーカーにとっては、ありがたい「広告」です。

隣の人が信用できないタイプの人だったら、どうでしょう。あなたのコメントは「AとBは同じメーカーが作っているらしいよ。同じ商品なのに40円も高い商品を売るなんでひどくないっ!?」なんて書いて、100人もの人が「いいね!」をしたら瞬く間にそのことが千人、二千人に伝わることになります。

社員がその会社が好きでなかったり、周囲から「幸せを感じさせる」人でなかったら、その会社のブランドは残念ながら強くなりません。
逆に仕事を楽しみ、会社が好きで、人生を楽しんでいる社員が多い会社は、強いブランドを築くことは容易です。

これは道徳の話をしている訳ではありません。
社員から嫌われている会社が社員に道徳を求めると、社員は会社の目の届かないところで一層道徳を背く行為をしがちになります。

むしろ、会社は社員が幸せを実感できる工夫が必要ということです。

前回のブログで、携帯端末は国内の家電メーカーにとって重要なブランディングアイテムだということを書きました。
現代人にとって携帯は最も身近で、しかも起きている時間はずっと手元にあるアイテムだからこそ、その携帯電話を通じてそのメーカーに対してもファン心理も形成しやすい商品なのです。

ブランドはとても身近なところで強くもなり弱くもなることをご理解ください。